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【サムエル記上】わかりやすく読解④

 

ポイント!

○真実は「目」に映らず、「耳」で聴こえず

○「肉の判断」<「声」≒「理性」の判断

○「因果の結末」は人の理解の先に在る。
「腑に落とす」よりも大切なこと。

 

内容「わかりやすく読解」サムエル記上

サムエルの告別の辞(出エジプトからここまでのまとめ)

1サムエルは全イスラエルに向かって言った。「わたしは、あなたたちがわたしに求めたことについては、すべてあなたたちの声に従い、あなたたちの上に王を立てた。
 
 2今からは王が、あなたたちを率いて歩む。わたしは年老いて、髪も白くなった。そして、息子たちはあなたたちと共にいる。わたしは若いころから今日まであなたたちを率いて歩んできたが、 3今、主と主が油を注がれた方の前で、わたしを訴えなさい。
 
わたしが、だれかの牛を取り上げたことがあるか。だれかのろばを取り上げたことがあるか。だれかを抑えつけ、だれかを踏みにじったことがあるか。だれかの手から賄賂を取って何かを見逃してやったことがあるか。あるなら、償おう。」 
 
4彼らは答えた。「あなたは我々を抑えつけたことも、踏みにじったこともありませんでした。だれの手からも何一つ取り上げたりしませんでした。」
 
 5サムエルは言った。「今日、あなたたちがわたしの手に何一つ訴えるべきことを見いださなかったことについては、主が証人であり、主が油を注がれた方が証人だ。」彼らは答えた。「確かに証人です。」
 
 
6サムエルは民に話した。「主は、モーセとアロンを用いて、あなたたちの先祖をエジプトから導き上った方だ。 7さあ、しっかり立ちなさい。主があなたたちとその先祖とに行われた救いの御業のすべてを、主の御前で説き聞かせよう。
 
 8ヤコブがエジプトに移り住み、その後、先祖が主に助けを求めて叫んだとき、主はモーセとアロンとをお遣わしになり、二人はあなたがたの先祖をエジプトから導き出してこの地に住まわせた。
 
 9しかし、あなたたちの先祖が自分たちの神、主を忘れたので、主がハツォルの軍の司令官シセラ、ペリシテ人、モアブの王の手に彼らを売り渡し、彼らと戦わせられた。 
 
10彼らが主に向かって叫び、『我々は罪を犯しました。主を捨て、バアルとアシュトレトに仕えました。どうか今、敵の手から救い出してください。我々はあなたに仕えます』と言うと、 11主はエルバアル、ベダン、エフタ、サムエルを遣わし、あなたたちを周囲の敵の手から救い出してくださった。それであなたたちは安全に住めるようになった。 
 
12ところが、アンモン人の王ナハシュが攻めて来たのを見ると、あなたたちの神、主があなたたちの王であるにもかかわらず、『いや、王が我々の上に君臨すべきだ』とわたしに要求した。 
 
13今、見よ、あなたたちが求め、選んだ王がここにいる。主はあなたたちに王をお与えになる。 14だから、あなたたちが主を畏れ、主に仕え、御声に聞き従い、主の御命令に背かず、あなたたちもあなたたちの上に君臨する王も、あなたたちの神、主に従うならそれでよい。
 
 15しかし、もし主の御声に聞き従わず、主の御命令に背くなら、主の御手は、あなたたちの先祖に下ったように、あなたたちにも下る。 16さあ、しっかり立って、主があなたたちの目の前で行われる偉大な御業を見なさい。 
 
17今は小麦の刈り入れの時期ではないか。しかし、わたしが主に呼び求めると、主は雷と雨とを下される。それを見てあなたたちは、自分たちのために王を求めて主の御前に犯した悪の大きかったことを知り、悟りなさい。」
 
18サムエルが主に呼び求めると、その日、主は雷と雨を下された。民は皆、主とサムエルを非常に恐れた。 
 
19民は皆、サムエルに願った。「僕たちのために、あなたの神、主に祈り、我々が死なないようにしてください。確かに、我々はあらゆる重い罪の上に、更に王を求めるという悪を加えました。」
 
20サムエルは民に言った。「恐れるな。あなたたちはこのような悪を行ったが、今後は、それることなく主に付き従い、心を尽くして主に仕えなさい。
 
 21むなしいものを慕ってそれて行ってはならない。それはむなしいのだから何の力もなく、救う力もない。
 
 22主はその偉大な御名のゆえに、御自分の民を決しておろそかにはなさらない。主はあなたたちを御自分の民と決めておられるからである。 
 
23わたしもまた、あなたたちのために祈ることをやめ、主に対して罪を犯すようなことは決してしない。あなたたちに正しく善い道を教えよう。
 
 24主を畏れ、心を尽くし、まことをもって主に仕えなさい。主がいかに偉大なことをあなたたちに示されたかを悟りなさい。 25悪を重ねるなら、主はあなたたちもあなたたちの王も滅ぼし去られるであろう。」
 

記載の通り、イスラエルの民は「理性」による「信仰」よりも、【肉】による【不安・恐怖】を選び取った。

その結果が王の誕生であった。

しかし、その神を畏れぬ信仰心の欠如を悔い改め今一度、主に心を尽くす生活に立ち返ってほしいという思いで語られた。

 

ペリシテ人との戦い(サウル王の大きな過ち)

1サウルは30歳で王位につき、12年間イスラエルを統治した。
ペリシテ人と大きな戦争をしていた)
 
 サウルも国中に角笛を吹き鳴らして言った。「ヘブライ人よ、聞け。」 4イスラエルは、サウルがペリシテの守備隊を打ち破ったこと、イスラエルペリシテ人の憎しみをかうことになったということを知った。民はギルガルのサウルのもとに呼び集められた。
 
5ペリシテ軍は、イスラエルと戦うために集結した。その戦車は三万、騎兵は六千、兵士は海辺の砂のように多かった。
 
6イスラエルの人々は、自分たちが苦境に陥り、一人一人に危険が迫っているのを見て、洞窟、岩の裂け目、岩陰、穴蔵、井戸などに身を隠した。
 
しかし、サウルはギルガルに踏みとどまり、従う兵は皆、サウルの後ろでおののいていた。
 
8サウルは、サムエルが命じたように、七日間待った。だが、サムエルはギルガルに来なかった。兵はサウルのもとから散り始めた。
 
 9サウルは、「焼き尽くす献げ物と和解の献げ物を持って来なさい」と命じて、焼き尽くす献げ物をささげた。 
 
10焼き尽くす献げ物をささげ終えたそのとき、サムエルが到着した。サウルは彼に挨拶しようと迎えに出た。
 
 11サムエルは言った。「あなたは何をしたのか。」
サウルは答えた。「兵士がわたしから離れて散って行くのが目に見えているのに、あなたは約束の日に来てくださらない。しかも、ペリシテ軍はミクマスに集結しているのです。 
 
12ペリシテ軍がギルガルのわたしに向かって攻め下ろうとしている。それなのに、わたしはまだ主に嘆願していないと思ったので、わたしはあえて焼き尽くす献げ物をささげました。」 
 
13サムエルはサウルに言った。「あなたは愚かなことをした。あなたの神、主がお与えになった戒めを守っていれば、主はあなたの王権をイスラエルの上にいつまでも確かなものとしてくださっただろうに。
 
 14しかし、今となっては、あなたの王権は続かない。主は御心に適う人を求めて、その人を御自分の民の指導者として立てられる。主がお命じになったことをあなたが守らなかったからだ。」 15サムエルは立ち上がり、ギルガルからベニヤミンのギブアに上って行った。
 

サムエルの告別の辞から12年の時が過ぎ、サウルが「肉による不安」に駆られ、主の言葉よりも「目先の対処」を優先してしましました。

実はサウルは、初勝利をあげる前に、サムエルからこう言われていました。

わたしより先にギルガルに行きなさい。わたしもあなたのもとに行き、焼き尽くす献げ物と、和解の献げ物をささげましょう。わたしが着くまで七日間、待ってください。なすべきことを教えましょう。

 

それにより、サウルは主の御心には適わぬ者という判定が降ってしまいました。
(主に逆らい、さらに沢山の制約を飲み込んでまでも求めたせっかくの王だったのに。。。)

◆深掘り◆ 8節に、「サウルは、サムエルが命じたように、七日間待っていた」とあります。
ギルガルに踏みとどまっていたサウルは、言われた通りサムエルを待っていました。

しかし、サムエルは約束の7日間に現れなかった。
サウルとしては、そもそもーペリシテ軍は、イスラエルと戦うために集結した。その戦車は三万、騎兵は六千、兵士は海辺の砂のように多かった。ー

こんな状態で待ってる場合じゃない中、それでも主の言葉と思い7日間待っていたのでは無いかと思います。
※ちなみにその間にも、恐れて兵士達はどんどん逃げ出しています。

約束の期日になっても来なかった為、サウルは焼き尽くす生贄(主への呼びかけの儀式)を捧げて、救いを求めました。

すると、そのタイミングでサムエルが到着して「私がやるって言ったのになんてことを、、、」となりました。

その時のサムエルの言った言葉が、「あなたの神、主が命じられた戒めを守らなかった。主は御心に適う人を求められる。あなたの王権はもう立ち行かない。あなたが主の命じられたことを守ろうとしなかったからである。」

一見、約束の期日に来なかったサムエルが悪いわけで、それでこの扱いじゃ理不尽だと受け取れます。

しかし、”勝手に自分自身の判断で”ことを進めてしまったことには変わりないです。
サウルの気持ちは分かるが、”たかだかー人間の理解”という狭い視野で見える世界を主の言葉よりも優先してしまった。

そこに「人の愚かさ」が出ているのではないかと思います。
ましてサウルはこれまでにも主の加護が示されていた分、尚のことかも知れません。

真実はこの目に映せないし、真実はこの耳では聞けません。
余裕がある時は、冷静に理性的に判断できるかも知れません。
(現にサウルもそうでした。)

しかし、このような緊急時にその人の本性が現れます。
それが露呈した為に、サウルは失脚してしまいました。

他人事とはまったく思えない場面。
※ちなみに次に王位につくのは「ダビデ」ですが、哀しいことにサウルを主からこれ以降見放される所か悪い霊が降り、嫉妬心駆られ全力でダビデを殺しにかかる人生が始まります。(最期は自害します。)