聖書 学院

日曜・水曜に投稿

【サムエル記上】わかりやすく読解③

今回のポイント!

イスラエル初の王が誕生する。

 

内容「わかりやすく読解」サムエル記上

イスラエルを治めるサムエル

主の箱が安置された日から二十年を経た。イスラエルの家はこぞって主を慕い求めていた。 サムエルはイスラエル全体に対して言った。
 
「あなたたちが心を尽くして主に立ち帰るというなら、あなたたちの中から異教の神々やアシュトレトを取り除き、心を正しく主に向け、ただ主にのみ仕えなさい。そうすれば、主はあなたたちをペリシテ人の手から救い出してくださる。」
イスラエルの人々はバアルとアシュトレトを取り除き、ただ主にのみ仕えた。
 
サムエルは命じた。「イスラエルを全員、ミツパに集めなさい。あなたたちのために主に祈ろう。」
人々はミツパに集まると、水をくみ上げて主の御前に注ぎ、その日は断食し、その所で、「わたしたちは主に罪を犯しました」と言った。サムエルはミツパでイスラエルの人々に裁きを行った。
 
イスラエルの人々がミツパに集まっていると聞いて、ペリシテの領主たちはイスラエルに攻め上って来た。イスラエルの人々はそのことを聞き、ペリシテ軍を恐れて、 サムエルに乞うた。
 
「どうか黙っていないでください。主が我々をペリシテ人の手から救ってくださるように、我々の神、主に助けを求めて叫んでください。」
 
サムエルはまだ乳離れしない小羊一匹を取り、焼き尽くす献げ物として主にささげ、イスラエルのため主に助けを求めて叫んだ。主は彼に答えられた。 サムエルが焼き尽くす献げ物をささげている間に、ペリシテ軍はイスラエルに戦いを挑んで来たが、主がこの日、ペリシテ軍の上に激しい雷鳴をとどろかせ、彼らを混乱に陥れられたので、彼らはイスラエルに打ち負かされた。
 
ペリシテ人は鎮められ、二度とイスラエルの国境を侵すことはなかった。サムエルの時代を通して、主の手はペリシテ人を抑えていた。 
サムエルは生涯、イスラエルのために裁きを行った。 毎年、ベテル、ギルガル、ミツパを巡り歩き、それらの地でイスラエルのために裁きを行い、 ラマに戻った。そこには彼の家があった。彼はそこでもイスラエルのために裁きを行い、主のために祭壇を築いた。

 

 

ーメモー

「バアル」とは?

古代シリア・パレスティナの神。

「アシュトレト」とは?
 古代セム人の豊穣多産の女神。 バビロニアではイシュタル。 旧約聖書ではこの女神の豊穣儀礼を批判して〈恥〉の母音を読み込んだアシュトレト。


「ミツパ」とは?

地名であり、「見張る場所」「物見やぐら」という意味である。この名前からして多くの場所にあったと推定される。

このように預言者サムエルは、生涯に渡って主に仕え敬虔かつ実直にイスラエルを治めていた。

民、王を求める

サムエルは年老い、イスラエルのために裁きを行う者として息子たちを任命した。(世代交代) 2長男の名はヨエル、次男の名はアビヤ。 3しかし、この息子たちは父の道を歩まず、不正な利益を求め、賄賂を取って裁きを曲げた。
 
 イスラエルの長老は全員集まり、サムエルのもとに来て、申し入れた。「あなたは既に年を取られ、息子たちはあなたの道を歩んでいません。今こそ、ほかのすべての国々のように、我々のために裁きを行う王を立ててください。」 「裁きを行う王を与えよ」との彼らの言い分は、サムエルの目には悪と映った。
 
そこでサムエルは主に祈った。 7主はサムエルに言われた。「民があなたに言うままに、彼らの声に従うがよい。彼らが退けたのはあなたではない。彼らの上にわたしが王として君臨することを退けているのだ。
 
 彼らをエジプトから導き上った日から今日に至るまで、彼らのすることといえば、わたしを捨てて他の神々に仕えることだった。あなたに対しても同じことをしているのだ。
 
今は彼らの声に従いなさい。ただし、彼らにはっきり警告し、彼らの上に君臨する王の権能を教えておきなさい。」
 
サムエルは王を要求する民に、主の言葉をことごとく伝えた。 
「あなたたちの上に君臨する王の権能は次のとおりである。
 
まず、あなたたちの息子を徴用する。それは、戦車兵や騎兵にして王の戦車の前を走らせ、 12千人隊の長、五十人隊の長として任命し、王のための耕作や刈り入れに従事させ、あるいは武器や戦車の用具を造らせるためである。
 
13また、あなたたちの娘を徴用し、香料作り、料理女、パン焼き女にする。
14また、あなたたちの最上の畑、ぶどう畑、オリーブ畑を没収し、家臣に分け与える。
15また、あなたたちの穀物とぶどうの十分の一を徴収し、重臣や家臣に分け与える。
 
16あなたたちの奴隷、女奴隷、若者のうちのすぐれた者や、ろばを徴用し、王のために働かせる。
17また、あなたたちの羊の十分の一を徴収する。
こうして、あなたたちは王の奴隷となる。
 その日あなたたちは、自分が選んだ王のゆえに、泣き叫ぶ。しかし、主はその日、あなたたちに答えてはくださらない。」
 
民はサムエルの声に聞き従おうとせず、言い張った。「いいえ。我々にはどうしても王が必要なのです。 20我々もまた、他のすべての国民と同じようになり、王が裁きを行い、王が陣頭に立って進み、我々の戦いをたたかうのです。」
 
サムエルは民の言葉をことごとく聞き、主の耳に入れた。 22主はサムエルに言われた。「彼らの声に従い、彼らに王を立てなさい。」サムエルはイスラエルの人々に言った。「それぞれ、自分の町に帰りなさい。」

王を建てることの何がそんなにサムエルは嫌悪したのか。

それは偶像崇拝だからです。

五感で感じ取れたら信じる。目に映らなければ信じられない。声が聞こえなければ信じられない。

「主を信じるかどうか」は無条件ではなく、あくまでも「自分が納得できるかどうか」という話になります。

 

偶像崇拝とは?ー

絵画・彫刻・自然物などの可視的対象物を信仰の対象として崇拝・礼拝すること。 ユダヤ教キリスト教イスラム教などでは厳しく否定される。

 

信仰を旨として主は義とされる。

サウル、油を注がれて王になる

”サウル”は美しい若者で、彼の美しさに及ぶ者はイスラエルにはだれもいなかった。民のだれよりも肩から上の分だけ背が高かった。

(ある日家のロバが数頭いなくなったので、サウルは数人で探しに行った。

しかし、中々見つからないので困っていた。

供の若者が、「ちょうどこの町に神の人(=サムエル)がおられます。尊敬されている人で、その方のおっしゃることは、何でもそのとおりになります。その方を訪ねてみましょう。恐らくわたしたちの進むべき道について、何か告げてくださるでしょう。」と言い、そうすることにした。)

 

(一方、サムエルは主からサウルが訪れることを預言していた。)

(サウル、サムエルに会う)

「三日前に姿を消したろばのことは、一切、心にかける必要はありません。もう見つかっています。全イスラエルの期待は誰にかかっているとお思いですか。あなたにです。そして、あなたの父の全家にです。」

 

「わたしはイスラエルで最も小さな部族ベニヤミンの者ですし、そのベニヤミンでも最小の一族の者です。どんな理由でわたしにそのようなことを言われるのですか。」

(※この時点ではまだ、傲慢では無かったが。)

〜〜〜〜〜

サムエルはイスラエルの人々に告げた。「イスラエルの神、主は仰せになる。『イスラエルをエジプトから導き上ったのはわたしだ。わたしがあなたたちをエジプトの手から救い出し、あなたたちを圧迫するすべての王国からも救い出した』。
 
しかし、あなたたちは今日、あらゆる災難や苦難からあなたたちを救われたあなたたちの神を退け、『我らの上に王を立ててください』と主に願っている。よろしい、部族ごと、氏族ごとに主の御前に出なさい。」
 
サムエルはイスラエルの全部族を呼び寄せた。ベニヤミン族がくじで選び出された。 そこでベニヤミン族を氏族ごとに呼び寄せた。マトリの氏族がくじで選び出され、次にキシュの息子サウルがくじで選び出された。人々は彼を捜したが、見つからなかった。
 
そこで、主に伺いを立てた。「その人はここに来ているのですか。」主は答えられた。「見よ、彼は荷物の間に隠れている。」 人々は走って行き、そこから彼を連れて来た。サウルが民の真ん中に立つと、民のだれよりも肩から上の分だけ背が高かった。
 
サムエルは民全体に言った。「見るがいい、主が選ばれたこの人を。民のうちで彼に及ぶ者はいない。」民は全員、喜び叫んで言った。「王様万歳。」
 
サムエルは民に王の権能について話し、それを書に記して主の御前に納めた。それから、サムエルはすべての民をそれぞれの家に帰した。
 
サウルもギブアの自分の家に向かった。神に心を動かされた勇士たちは、サウルに従った。 しかしならず者は、「こんな男に我々が救えるか」と言い合って彼を侮り、贈り物を持って行かなかった。だがサウルは何も言わなかった。 

サウルの勝利と即位

さて、アンモン人(王:ナハシュ)が攻め上って来て、イスラエルの町を包囲した。イスラエルの全住民はアンモン人に言った。「我々と契約を結んでください。我々はあなたに仕えます。」
 
アンモン人は答えた。「お前たちと契約を結ぼう。ただし、お前たち全員の右の目をえぐり出すのが条件だ。それをもって全イスラエルを侮辱しよう。」
 
長老たちは彼に言った。「七日間の猶予をください。イスラエルの全土に使者を立てます。救ってくれる者がいなければ、我々はあなたのもとへ出て行きます。」
 
使者はサウルのいるギブアに来て、事の次第を民に報告した。民のだれもが声をあげて泣いた。 そこへ、サウルが牛を追って畑から戻って来た。彼は尋ねた。「民が泣いているが、何事か起こったのか。」彼らはヤベシュの人々の言葉を伝えた。
 
それを聞くうちに神の霊がサウルに激しく降った。彼は怒りに燃えて、 一軛の牛を捕らえ、それを切り裂き、使者に持たせて、イスラエル全土に送り、次のように言わせた。
 
「サウルとサムエルの後について出陣しない者があれば、その者の牛はこのようにされる。」民は主への恐れにかられ、一丸となって出陣した。
 
 彼らはヤベシュから送られて来た使者に言った。「ギレアドのヤベシュの人々にこう言うのだ。『明日、日盛りのころ、あなたがたに救いが来る。』」使者が帰って来てそう知らせると、ヤベシュの人々は喜び祝った。
 
ヤベシュの人々は言った。「明日、我々はあなたたちのもとに出て行きます。よいようにしてください。」
 
翌日、サウルは民を三つの組に分け、朝の見張りの時刻にアンモン人の陣営に突入し、日盛りのころまで彼らを討った。生き残った者はちりぢりになり、二人一緒に生き残った者はいなかった。
 
民はサムエルに言った。「『サウルが我々の王になれようか』と言っていた者はだれであろうと引き渡してください。殺します。」 しかし、サウルは言った。「今日は、だれも殺してはならない。今日、主がイスラエルにおいて救いの業を行われたのだから。」
 
サムエルは民に言った。「さあ、ギルガルに行こう。そこで王国を興そう。」 民は全員でギルガルに向かい、そこでサウルを王として主の御前に立てた。それから、和解の献げ物を主の御前にささげ、サウルもイスラエルの人々もすべて、大いに喜び祝った。
 

サウル王、初の勝利

サウルがイスラエル王となった紀元前10世紀頃、国の軍備ははなはだ貧弱だった。聖書の記述によれば、製鉄の技術はペリシテ人が独占しており、イスラエルには鍛冶屋もなく、斧や鎌などを研ぐのさえペリシテ人に頼んでいたという。

 こんなイスラエルを討ち負かすなど簡単なことと考えたのか、ナハシュは軍を率いてギレアド地方のヤベシュを包囲すると、「お前たちと契約を結ぼう。ただし、お前たち全員の右の目をえぐり出すのが条件だ。それをもって全イスラエルを侮辱しよう」といったのである。


 ヤベシュの長老たちは大いに驚き、せめて7日間だけでも猶予をくれるようにと申し出た。
 ナハシュがこれを受け入れると、長老たちはイスラエル全土に使者を派遣して救いを求めた。

※引用元:登場人物で読む聖書の物語 ナハシュ

 

主がサウルを通して、イスラエルに救いの業を行なわれた。